ワールドコスプレサミットの舞台電飾を協力して
静丘です。
世界34ヶ国が参加するコスプレパフォーマンスの世界大会「ワールドコスプレサミット2017」において、友人として日本代表チーム「琉演」の舞台電飾の製作を協力することになりました。今回はその製作の流れをまとめておきたいと思います。
(2017/08/25 記事のまとめ方に誤りがありましたので修正しました)
結果から言うとWCS2017で日本チームは総合3位となりました!チームのお二人(万鯉子さん、マヒオさん)の舞台構成、演技、衣装の作り込み、練習の賜物ですが、舞台を彩る電飾担当として微力ながらお手伝いできたのを嬉しく光栄に思っています。
ワールドコスプレサミット2017とは
サイトにも書いてありますが、漫画ゲームのコスプレが世界に広まるのに合わせて文化交流のイベントとして2003年に名古屋で始まった世界最大規模のコスプレイベントです。
パフォーマンス世界一を決めるWCSチャンピオンシップ以外にも、名古屋の色々な場所で併催されるコスプレイベントや、アニメ関係のイベントなどコスプレを中心とした総合イベントになっています。名古屋市長が毎回コスプレするから世間でも割りと有名なイベントかもしれません。今では34ヶ国が参加する国際色豊かなイベント。私もインドチームとたまたまお話する機会があって仲良くなりました。英語も現地の言葉も(多民族国家なので)くわえてアニメで学んだ日本語もできる代表が、お好み焼きにこれでもかってくらい七味を入れてるあたり印象的でした。
以前、「電飾聖」でご一緒したそうびさんの紹介で、マヒオさん・マリコさんチームと繋がって一緒に世界大会を目指すことになりました。私はコスプレイヤーではありませんが、2.5次元の世界を作りあげるコスプレ表現が好きですし、その世界を舞台という形で表現するサポートができればと思って、今回全力でお手伝いさせて頂きました。
構想検討
電飾製作の最初は「何をしたいか」のアイディアを詰めるところからスタートでした。最初に、マリコさん、マヒオさんが実現したいと思うアイディアを伺います。
この時は実現可能手段の「How」よりも何をしたいかの「What」を中心に、本当に出来る出来ない関係なく、お二人がやりたいアイディアを提案してもらいます。
※日本代表戦に向けての最初のアイディア
そのアイディアをたたき台に、エンジニアとして「出来ること」「出来ないこと」を明確にしながらこちらで具体的な設計内容に落とし込んでいきます。この時点で、光らせ方などは逆提案もしたりしていました。
詳細設計
製作はFBグループを作って進めていきました。この辺の手法はテクノアルタでも一般的なプロジェクトのやり方です。FBグループは既読未読が分り、トピックごとに議論ができ、気軽に情報共有ができて重宝します。(最後の方は時間がなくてLINEグループやりとりしてました)
プロトタイプを作りながら「こんな感じでいかがでしょ?」って話を繰り返していきます。私も、お二人も、お互いの専門分野が違ってイメージが一致しにくいからこそ、現物やイラストベースでアイディアを「示す→作る」を繰り返し早く回していきます。
電飾試作
設計が完了したら、一旦私の方で電飾部分を試作していきます。
基本的に1ヶ月とか短期間での製作が多く、ベースとなる基板を1から作り上げていく時間がないため、LEDを制御できるマイコンであるArduinoを多用していました。
例えば、化猫の目でいうと、以下の動画のように時間にあわせて光り方が変化するようにプログラミングしていきます。
光り方は0:05で赤に、0:10で黄色に…といった形でパフォーマンスの内容に合わせてお二人からインプットがあるので、その通りに実装していく流れとなりました。
世界大会では化猫のサイズが更に大きくなったので、目のサイズも70cmに。
なかなか暴力的な光り方していました。
よく受ける質問ですが、電源は基本的にモバイルバッテリーを使うように教えます。
私達の作る電飾もそうなのですが、携帯性があり安価で大容量、繰り返し充電も楽で接続も簡単、安全面にも考慮できるので、モバイルバッテリーが重宝します。電流はLEDが何百個も使う電飾システムだと平気で2~5Aとか使うのですが、その場合はモバイルバッテリーを増やして対応するようにおすすめしています。
現地製作
マリコさん側でも同様の装置を作り上げもらい、プログラム等を実際に現地で教えていきながら光り方などを調整していきます。「Arduino」は開発環境を共通化できるので、遠隔地でも共同で製作するのに向いています。
御札などは光らせ終わったら床に落とすような使い方もあったりして、壊れる可能性があるから念のためスペア電飾を作ったり。
舞台電飾に必要となる要素
今回、舞台で使う電飾製作に協力できて色々と経験できました。
・本番で絶対に動くものが必要
プロトタイプありがちな時々動かないとか論外で、演者が半年や一年かけてきた演目を飾るために「絶対に」動く必要があります。ソフトウェアの動作確認はもちろんですが、余裕ある回路設計、配線を多重にしたり、筐体固定を厳重にしたり、ホットボンドで固めたり…。動くことには非常に気を使いました。
・複雑な操作でなく、時間に合わせて動くのみシンプルな動作が求められる
ボタンで色が変わるとか、無線で連動するとか、あまりハイテクな要素は必要なく「スイッチをONにしたら時間に合わせて変化する」それだけでした。無線などは会場の影響で動作不良になる可能性もありますし、シンプルがベストです。
・組み立てできる、運搬できる、耐久性がある
私でなくても組み立てができるように配線のコネクタ化、組み立てされるサイズの予想が必要です。また、それを分解して運搬されることが前提で作る必要があります。そして何より激しい練習に耐える耐久性です。終盤になってこの辺は私も学んだので、配線の接続部分は引っ張られても壊れないように二重の補強を入れたりしてました。
2分30秒の一瞬にかける電飾
コスサミの「2分30秒」というあっという間のパフォーマンスに対して、今回は500個とか壮大な数のLEDを搭載した装置を何種類も作り、それを複数のマイコンで制御しながら、実際に光るのは数十秒…そんな花火みたいな世界の製作でした。
実際に小道具・大道具に仕込まれた時、パフォーマンスに組み込まれた時の動作を見ると本当に圧巻で、舞台道具がまるで生きてるように見えたのは覚えています。
※自分と同じサイズの化猫の目が光って動くのは本当に怖い印象うけますよ
今回、お二人に電飾製作の方法を教えながら一緒に製作していきました。
最初はお互いバックグランドが違って意志疎通ができなかったのですが、一緒に作っていくうちに配線や、プログラムで何が出来るかをマリコさん達が理解していき、最終的に大型の電飾を作るサポートをすることができました。
また来年もサポートできることがあればと思います!